シンプルな不動産投資
少し乱暴な口調の居住者にどやしつけられただけで、賃貸マンションを投げ出したくなる人もいます。
このように収益物件が売りに出される理由というのは千差万別ですから、その中で、自らの耳目によってきわ立つ物件を探し出す修練を積むことが大事です。
そういう修練の積み重ねが素人のオーナーを経営者に育て上げるのです。
以前、大阪のきわめて都心に近い福島というところの、築6年ほどのワンルームマンションの売物を紹介されたことがあります。
賃料の利回りを聞いてみて驚きました。
何と年率12%もあるというのです。
大阪は私のホームグランドではないので、そんなマンションが本当にあるのかしらと疑いながら調査にあたったのですが、出るは出るは、以下のような多くの問題が出てきました。
利回りに管理費が計上されている。
建築基準法違反の建物で、容積率が20%オーバーしている。
築6年だが、建物の痛みがひどく、特に玄関ホールの大理石の壁面は上から押されるようにして亀裂が入っている(構造に問題があるのではないか)。
管理が悪く、共用スペースが乱雑で、スチール製の階段手摺等にも赤さびが目立つ。
居住者の賃料振込みの通帳コピーを調べてみると、48件中、14件が3カ月以上の賃料滞納者。
さらに、居住者の内容についてチェックしていくと、賃借人に外国人が多いことも判明しました。
以上のような内容を知るに及んで、不動産的魅力はあったのですが、修復管理することは大変だと思い、この物件はパスすることにしました。
収益物件を購入する場合、必ず事前にやっておかなければならない調査があります。
まずは物件周辺の聞込みをすること。
物件周辺の賃貸業者は周囲の賃貸物件の内容についてよく知っているので、このような業者からじかに対象物件の評判を聞くことが絶対条件です。
次に、賃料の振込まれている銀行通帳のコピーを取って、滞納がないか確認すること。
違法建築でないことの確認をとること(違法と知りながら賃貸者を居住させ、出火等で犠牲者が出ると、その責任の一端はマンション所有者にきせられることを認識しておくべきです)・登記簿謄本で売買価格以上の担保が付いているかどうかを調査し、手付けを支払っても問題がないことを確認すること。
これらの事前確認は収益物件購入には大変大事なことだと肝に命じておくべきです。
その物件のある地域は、実は第一種低屑住居専用地域で、建ぺい率50%・容積率80%の地域でした。
物件の建物は、そこに建築年数30年位の、よく手入れされた、容積率300%位の、4階建の鉄筋コンクリートマンションとして建っていたのです。
利回りは大変魅力的なのですが、建物はあと10年ほどで耐用年数に達し、その頃になれば入居者も、今の賃料設定では入居しない可能性がありました。
また、建て直すとすれば、新規建物は現有建物の4分の1程度しか建てることは出来ず、そうなると利回りは2〜3%のまったくメリットのない物件になってしまいます。
では、建物を除いた敷地の地価はどうかと調査したのですが、小さな敷地に大きな建物が建っているという、つまり建物を取り壊した後に残る敷地はわずかで、不動産価値としてもあまりメリットのある物件ではありませんでした。
確かに10年位は利回り10%位の賃貸収入を得ることが出来、その後も改修をすることにより使って使えないことはないと考えました。
しかし、私どもも収益物件を購入する次に、原則の不動産価値ですが、1つ事例を紹介しながら話を進めたいと思います。
以前、購入を検討した物件に次のようなものがありました。
京都の北区にある区画整理宅地の中に出てきた物件で、価格は2億円、賃貸収入は1800万円もある希少な物件でした。
利回りは9%ですか、よほど問題がなければ購入に踏み切るべきだったのです。
ところが問題は調査の入口の段階で出てきました。
こういう話をし始めると、いろいろな事例を思い出してさらに脱線してしまいますが、阪神大震災で弊社が所有する神戸のマンションも被災を受け、建て直さなければならなくなりました。
このマンションの用途地域は第2種住居地域で、建ぺい率は60%、容積率は200%しかありませんでしたが、建築された頃は商業地域に指定されていたので容横率は500%あり、現有建物も流00%ぎりぎりに建っていました。
これを建て面すとなると、基本的に現用途地域での容秋率で建築しなければなりません。
しかし、前述のように新たな建物は容積率1100%の建物になります。
もとは、32戸の居住者が占有面積平均60平方メートルを所有していましたが、以前の容積率に比較して60%も減少されるわけですから、1戸あたりの平均占有面積は24平方メートルとなり、これでは住居にもならなくなってしまいます。
そこまで占有面積が減るわけですから、居住者の中には建替えを拒絶し、出来れば土地を売却して資産整理をしたいという人も出てきます。
このマンションは、8年前、知人の紹介で3600万円で買いました。
海沿いに面した本当にロケーションなのに無制限に資金があるわけではないので、バランス的に見てこの物件はパスしました。
余談になりますが、建築に詳しい人は、建ぺい率50%・容積率80%の所にどうして300%ものマンションが建つのだろうとお思いでしょう。
しかし、このマンションが建築された頃には、この地域は無指定で建ぺい率70%・容積率400%の規定が利用できたのではないかと思います。
違反建築として現有規制以上のものが建っているわけではないのです。
また、これとは正反対の事例をご紹介します。
物件は京都の高級住宅地にある賃貸マンションでした。
近郊の農家が4年前、自分の敷地に賃貸マンションを建築して経営していたのですが、体調が悪くなって弱気になられたのか、遺族に不動産で資産を残すより現金で残したいと思われ、築後4年の賃貸マンションを売りに出されたのです。
この物件の利回りは6%で、業者が購入する収益物件としてはいささか収益率が低いのですが、詳細に検討しているうちに、物件には別のメリットがあることに気がつきました。
そのメリットとは、建物の素晴らしいマンションで、当時、占有面積60平方メートルほどのマンションでこの価格は法外だったのですが、景観代と諦めて購入したのでした。
いくら古くなろうとも、居住性能がある限り、マンション価格は絶好のロケーションとともに、ある一定の価値を持つものです。
しかし、いざ建物が倒壊し、その敷地に今までの建物の40%程度の容量の建物しか建築できないことがわかると、物件評価は極端に下がります。
不動産業者として私が見た土地だけの物件の評価は、1戸あたり500万円でした。
何と、建物のついていないそのマンション用地は、一挙に3600万円から500万円に下がってしまったのです。
会社の財産は一挙に3100万円もふっ飛んでしまいました。
この辺りが不動産の恐さです。
利回りだけで不動産を購入し、何らかのアクシデントがあって建物が無価値になった時の不動産価値はどのようなものかということは計算の中に入れておく必要があるのではないでしょうか。
次の管理は、一般の人が収益物件を購入するときに見落としがちな重点事項です。
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